「サキさん…、俺…、おれっ、貴方の考え…間違ってるなんて思いませんから。俺はずっと貴方について行くって決めたんですから」
 
 

貴方は俺に居場所と存在意義をくれた。


例え野良に戻ろうと、俺は貴方の舎弟です。

拾ってくれたのは貴方です、最後までついて行きますよ。


貴方が消えてしまったとしても。
 


「でも貴方がいないと…、毎日がツマンナイですよ」
 
 

手から護身用の道具が滑り、静寂が包み込む空気を裂いてアスファルトに落ちた。


また色も音もない世界に戻ったな、居場所がなくなっちまったからかな。


虚ろに言葉を紡ぎ、「サキさん」楠本は舎兄の名前を呼ぶ。返答はない。


その現実に憎悪を抱く楠本は、一変して瞳に黒い光を宿した。




「今にみてろ。壊してやるっ、あいつの、あいつ等の居場所ッ、チームをッ、壊してやる―――ッ」




⇒#06