本当は子猫を持って帰りたいけど、これから学校だから……せめて毛布代わりのタオルとご飯で、放課後までもっててほしいと祈った。




私は猫の頭を優しくなでてから立ち上がり、学校に向かった。






『おはよう優哉くんっ』


「おはよう姫華」


優哉くんは私にふんわりと優しく笑いかけてくれた。




私達カップルはもうクラス公認だ。




だからクラスの皆は見守るように2人を見ている。




―ガラッ


「姫華っ」


『ん〜?』


振り返ると咲人がいた。




「電子辞書貸してくれッ」


『なんで〜?』


咲人は急いでるのか両手を前で合わせ、足をバタバタと慌ただしくさせている。




「今日英語あるのに辞書忘れたんだよ〜、お願いだから貸してッ」


『しょうがないな〜、そのかわり苺ミルクキャンディー1袋ねッ』


「分かった分かった!!じゃっ借りるぜッ」


咲人は私の机の上にある電子辞書を持つと、ピューッと風のように去っていった。






―ガラッ


「おまえら席つけ〜」


宏介が教室に入ってきた。