だが、ふと我に返って
ナイフを流しに落とす。



「何やってるんだ…私……」



戸棚に寄り掛かった。
その振動で頭の上から
何かがスッと落ちてきた。



何だろうと莉乃が
手を伸ばして取ると
それは康平と莉乃の
ツーショット写真だったのだ。



「康平…どうして?あんなに変わってしまったの?優しかった康平なのに……私は嫌いになんてなれないよ」



莉乃は写真の中の康平に
語りかける様に喋っていた。



その後、部屋の物を片付けに
業者の人が何人か来たが
莉乃の姿はなくなっていて
数日後には
別の人が住む事になった。



今現在、莉乃は消息不明であり、
バイトも辞めて何をしているのか
全く分かっていない。
姿を消す前は
精神的に参っていたのは確かだ。



夜月と莉乃は
もう二度と会う事はないだろう。



しかし、他にも
康平と関わった人がいる。