「ここ…何…!?」


葵衣の言葉に、男は不敵な笑みを浮かべて言った。


「フェアリー ドロップ カンパニーへようこそ。」


「これって…会社…?これが?」


葵衣は目をぱちくりさせて建物の全貌を見る。


透明感のある、涼しげな建物。


建物…というには いささか怪しい、巨大な香水瓶。


「こちらへど〜ぞ〜。」


前の方から声がして視線を移すと、男は葵衣を置いて先々 進んでいた。


急いで後を追う。


自動ドアが開くと、どこからともなく美しい女性の声がした。


『フェアリー ドロップ カンパニーへようこそ!』


『ようこそ!』


女性の声に続いて、沢山の子ども達が一斉に口を揃えて言った。


自動ドアを開けると流れる音声なのだろうか。


なんともワクワクさせる声だ。


葵衣は少し心を躍らせ、男の後を追った。