あの夢は―……。

あの夢は、私のことだったんだ。


正確には前の私みたいだけど。


だから、あの夢を見た時あんな感情になって……。


正典さんを見た時、言い知れぬ感覚になった。


そして、自然に惹かれていったんだ……。


「こんな事、言うつもりはなかった。
君には、記憶がないはずだから、言っても迷惑にしかならない。
ただ、会いたかっただけなんだ……」


そう言って、今度は正典さんが抱き締めてくれた。


それで、実感する。

彼からは、人の温もりを感じない。

抱かれている腕や、頬に触れる手が雪のように冷たい。


私の肩に顔を埋めて『ごめんね…』と、悲しそうに一言呟かれた。


辛そうな正典さんを見ていられなくなった私は、勢いよく立ち上がり、正典さんに言う。


「あー、何か辛気くさいよ?
せっかくのクリスマスなんだから、楽しもうよ!」


暗いのは嫌い。

辛そうな貴方を見ていたくない。


私は、貴方の笑顔に惹かれたんだから……。