チュン、チュンと小鳥の鳴く声で目が覚める……なんてありえないだろう。



「こらぁ!早紀ーっ!

いつまで、寝てるの?今日は、終業式でしょ?」



そう怒鳴りながら、私の体からホカホカな布団を剥ぎ取るママ。


「……寒い。眠い」


体がヒヤッとした空気にさらされた私は、身を丸めて手探りで暖かさを求めるけど……。



「だーかーらー!起きろ!」


「……はい」


一向に起きようとしない私に、切れやすいママはさらに怒鳴る。


しまいめにはバシバシ叩いてくるもんだから、嫌でも飛び起きてしまった。


「ほら、早く着替えて朝ご飯食べなさい!」

「………ウザイ」


「なんか言った?」


ボソッと言った私の言葉を、地獄耳のママは聞き逃さなかった。


ほら頭に角生やして拳を私に向けてくる鬼バ…もとい、ママ。


「何でも、ありません」


「よし!じゃ早くねー」


よし!…じゃねーよ。
虐待で訴えてやろーか…。

なんて、思いながらも渋々着替える事にした。



一通り用意をすますと、部屋の全身映る鏡の前に立つ。


紺色のブレザーに真っ赤なリボンの学校指定の制服を来た私。


「今日で、少しお別れだねぇ〜」