ある日の朝、進君が私に言った。

「心さん、俺今日真由に会ってくる。夕飯食べてくるから用意してくれなくていいから。」

「真由と?会ってたんだ。」

「今まで兄貴のことで、ずっと会ってなかったんだけど。やっぱ兄貴のことで参ってるみたいだ。」


真由の苦しみは理解できる。真由は、私よりもずっと探してずっと長い間真を想っていたのだから。
でも………。

「心さん。」

私の顔色を伺って、進君は私の頬に手を当てる。 


「俺、真由を放っておけない。」

「わかってる。でも、進君だって傷ついてるのに。……そんなに沢山、抱え込んだら。」

そういった私に、進君は苦笑した。