「遊んでよ、忍~」
「きゃッ…ちょ…!?…あははは!くすぐったい!」
不安を消し去る様にベットでジャレ合う二人。
「…忍…一緒に帰ろう。」
そう言う右京に忍は満面の笑みを返した。
二人の唇が触れ合う寸前でドアを叩く音に邪魔される。
「…またこのパターンか…」
右京のぼやきに忍はクスッと笑って「右京が出て」と言って鼻の頭に軽くキスをした。
「はいはい、仰せのままに!…服着ろよ?」
右京は溜め息をつきながらドアを開けた。
『おはよう、ニック…』
『おはよう、クロウ!…お前ら朝からうるせーよ!』
文句を口にするニックは笑いながら右京の銀髪を撫でた。
『記憶…戻ったか?』
『大分な…。とりあえず、忍と一緒に帰国するよ。』
『ああ。イギリスにも来るだろ?』
『ん…大学くらい卒業しときたいし、それに─』
右京はニックを真っ直ぐ見て口角を上げた。
『それに、俺の“やるべき事”がまだイギリスにあるだろ?』
ニックは右京に手を差し出す。
『ああ…よろしく頼むよ。』
右京はその手をしっかり握り返した。
『完全復活じゃないけど…やるだけやってみるよ。』
数日後、忍は手帖にまたその日の出来事を書き込んだ。
“─右京、帰国。─”