「最初はここが俺の場所だ、と思ったこの学校が、急に息苦しくなった。そんなとき、ある人との出会いが俺を変えてくれた」
まだ話は長いんだろう。俺達はコローレと目と鼻の先にあるバス停のベンチに腰掛けた。
「雅也(まさや)先輩っつって…学校でも一目置かれてる人だった。雅也先輩は、『しけた面してんじゃねぇ。毎日は同じように過ぎてくようで違うんだ。お前が今同じように感じてる日々は、お前次第で目に見えるように変わってくぞ』って…そう言われて、何となく…希望が持てた。明日の、自分に」
少し口元に笑みを浮かべた学は、自分の膝の上に置いていた手を絡ませた。



