「『そして爽子は…私と結婚したいと言った。
その時私は、はっとした。
衣緒莉を置いて、外に愛人をつくり、愛し合ってしまった。最低なことをした、と。
そんな重大な過ちを犯したことに気づいた。
私は、2人もの女性を傷付けていた。
きっと…その当時、衣緒莉は、私に愛人がいることに気づいていたと思う。
だが衣緒莉は、私を咎めることはなかった。
…そして、やはり私には、衣緒莉が必要だと気づいた。
私はきちんとけじめをつける為に、爽子に別れを告げようとした。
だが…告げる前に、彼女はとても、とても嬉しそうに…赤ちゃんが出来た、と。
私はその瞬間、嬉しさと同時に…衣緒莉の笑顔が浮かんだ。
衣緒莉を選ぼうとした俺の前に…湊爽緒、お前が、爽子のお腹に誕生した』」



