ひとりになれる場所…―屋上。
俺は優しい風に吹かれながら、数週間前の出来事を思い出していた。
ゆっくりと、ポケットからある手紙を取り出す。
そこには…『天野 湊爽緒様』と書かれていて、裏を見ると…『天野 貫一』と書かれている。
俺はこの手紙のせいで、知りたくもないことを知ってしまった。
けど、俺自身の為には、きっと知っておくべきこと…だったんだろう。
…俺は手紙を開くことなく、再びポケットに戻した。
風に煽られる髪がうざったくて、掻き上げたとき、
ガチャッ
屋上のドアが開いた。
「おい、湊爽緒。てめぇ…俺の場所に居座ってんじゃねぇぞ」
「……学」
ドアを開けたのは、学で。
何となく、学が来るとは思ってたけど。
俺は怠そうにポケットに手を突っ込みながら近づいてくる学を見て、微笑した。



