「看板の背景黄色やし、ペンキで上手く塗り潰せばいけるんちゃう?」
「そうだな。…ってか、肝心の黄色のペンキは……」
「ちゃーんとあるて。な、ここに…」
ガチャーッン
「いったぁ!!なんやものっそ痛ぁ!!弁慶さんが泣いてんでこれぇ!!」
「「…………………」」
ァアアァアアァアアア………(泣)
や、やらかしやがったこいつ…!!
俺と克は今、同じ顔をしていると思う。
…完全に、正気を失った顔だ。
なぜなら、肝心の黄色のペンキを、竜馬が蹴って零したからだ。
まぁ、まだ微かに希望は残っている。
その零れたペンキを掬い取って塗ればいいんだ。
「克!!」
俺の呼び掛けに、克は少しだけ頷いた。



