「別に、俺は辛いと思ったことはねーよ」
「………嘘だ。ねぇ、本当は…「嘘じゃねぇ」
嘘じゃ、ねぇよ。
辛いとか、悲しいとか…んな思い、とっくに無い。
「………そっか。じゃあボクは、君を職員室に送り届けたら自分の教室に戻るよ」
「あぁ。悪いな」
「んー…気にしないで?ボク、理事長だし(笑)」
ニコッと笑う時定を俺は一瞥し、それから目の前にある職員室に近付いた。
「じゃあね!!また会えることを祈るよ!!んー…ま、会えるか」
「?あぁ。またな」
時定の意味深な顔を見つつ、俺は職員室の戸を開けた。
「失礼します」
「ん?お、もしかして天野くんかね?」
俺の声に気付いたおっさんが、話し掛けてきた。



