梓との電話を頭の中で何度も繰り返し、眠ったのか眠れなかったのか分からないまま夜は明け、いつもと変わりない朝が来る。
何となくしっくり行かない思いを抱きながら時間に追われ、気付けば仕事が始まる。
いつもと同じようで…何か違う。
奈桜は悪い予感を感じたくなくて、気持ちを楽しい方へと持って行こうとしていた。
今日も深夜まで仕事がある。
何かに気を取られている余裕はない。
「奈桜!!奈桜!!」
勢い良くドアが開き、碧が入って来た。
が、新曲の踊りを一心不乱に練習していた奈桜にはすぐには声が聞こえない。
奈桜はメンバーより一足早くダンススタジオに入って練習していた。
「奈桜!!奈桜って!!」
近付いて来た碧にようやく気付き、驚いてやっと立ち止まる。
「何だよ。びっくりするだろ?」
ちょっと笑いながら奈桜は音を止めた。

