―時間いっぱい…―
「カワイイなぁ…」
そっと頬を撫でながら、思わず呟く。
子供の寝顔はまた特別にカワイイ。
満面の笑みで、ぐっすりと寝入っている娘の桜の顔を見つめる奈桜。
子供独特の、ぷっくらとした頬。
ポッとしたくちびるも、愛くるしくてたまらない。
思わず奈桜はそのくちびるにそっとキスをした。
「ファーストキスはパパが奪ってやった♪」
ほんとはもうとっくに奪っている。
奈桜は桜にキスする度にこのセリフを言うのだ。
「桜はパパの宝物だからな」
優しく髪を撫で、布団の上から軽くキュッと抱きしめる。
どんなに疲れていても、どんなに凹んでいても、この時間が全てを精算してくれる気がする。
事務所との話し合いは意外と早く、マネージャーの石田が事前に頑張ってくれた事がよく分かった。
まぁ、事務所側としても時間的に余裕もなかったようで、奈桜の話は渡りに舟だったのだ。
Zの総括マネージャーの木下も渋い顔はしていたが、内心、安心していたに違いない。
神川に借りを作るのが嫌ではあったが…

