パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~


「よぉ!奈桜じゃないか」



前方からやけににこやかな、白々しい笑みを浮かべた男が手を上げながらやって来た。
奈桜の表情が一瞬強ばる。



「神川さん…」



この業界の人間特有なのだろうか、それともこの人の性格なのだろうか、どうして過去に嫌な問題があった人間に、何事もなかったかのようにこうも白々しく笑って話しかけられるのだろうか。
しかも、その問題はまだ継続中である。



「元気そうじゃないか。ドラマの方も当たったし、乗ってる人は違うよねぇ。逆境も跳ね返す力があるもんなぁ。いやぁ、さすが。奈桜の人気は本物だよ」



どこまでも白々しいヤツだと奈桜は気分を害していた。
が、そこは大人である。
奈桜も白々しく笑みを浮かべる。



「神川さんのおかげですよ」