パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~


「奈桜さん、すみません。私の力が足りないばっかりに…。リーダーの件、本当にすみません。奈桜さんがそういうの嫌いだっていうのはよく分かっているつもりです。それにまた嫌な思いもされたんじゃ…」



石田は車を走らせながらチラチラと奈桜を見る。
窓の外を切なく眺めるその横顔に、思わず見とれてしまう。



「石田さんのせいじゃないよ。すでに決まってた事だよ。事務所のお偉いさん方の言う事にはオレたちは逆らえないよ」



バックミラー越しに石田を見つめ、優しく微笑む。
こんな笑顔で返されたら、マネージャーという立場を捨てて思わず告白したい気になってしまう。
普通の女の子ならきっとこの思いに賛同してくれるだろう。



「ゲームでは上手くやってみせるよ。お偉いさん方が納得するようにね。ほら、考えようでしょ?上がオレにはリーダーの器があるって認めた訳でしょ?物はとりようだしさ。…今日は2本撮りだよね?」



いつものように爽やかに言うとサッと車を降りてラジオ局の中へ入って行った。



「奈桜さん…、さすがです」



奈桜がもう中に入っているのに、仕事を忘れて石田はぼんやりと車から奈桜を見送った。