パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~




「はい…」



心が部屋を出るのを見届けた奈桜は急いで電話に出る。
気が焦っているせいか、指がちょっともたついた。



「奈桜?」



「梓?」



見えてはいないが、お互い相手の存在を声で『確実な存在』と確認して安堵の表情を浮かべる。



「今、大丈夫?」



「大丈夫だよ」



体中の血が、勢いよく全て耳に流れ込んで来るようだ。



「彼女の居場所が分かったの。南 花菜ちゃん…」



「えっ!?ホントに!?」



「彼女ね、うちの事務所が持ってる超高級マンションで軟禁されてるわ。部屋の中もドアの側も、事務所の人間がずっと何人もいて見張ってる。仕事以外では外にも出られないみたい。もちろん携帯も没収されてるし、部屋の電話も切られてる。おそらく親でも彼女と個人的に連絡取れないわね。仕事に行くのだって、何人お付きの人がいるの?ってくらいの人数で彼女を取り囲んでるらしいわよ」



「そっか…。やっぱりそうだよな。碧と連絡取るなんて絶対無理だな…」



力無い声でポツンとこぼす。