「仕事を増やす？フッ…。増やす仕事が来ればの話だな。あとは頼んだぞ。リーダー」



専務はそれだけ言うと先に立ち上がった。



「ちょ…、ちょっと待って下さい！」



奈桜も続けて立ち上がる。
何とか…、碧の有利な方に話を進めておかなければならない。



しかし、そんな奈桜の想いは全てお見通しである。
専務はそれ以上は何も言わず、奈桜をチラッと見て不気味に笑い、部屋を出た。





「どうでしたか？」



「上手く行ったよ。これで奈桜も下手には動けないだろう。もちろん、奈桜自身も軽はずみな行動は出来ないはずだ」



廊下で待っていたのはＺの総括マネージャーの木下だった。



「奈桜をリーダーにして動きを封じる。上手く考えて下さいました。彼は、あぁ見えて結構モテて…。オンナが切れないんで困ってたんです。いつまた、スキャンダルに巻き込まれるとも限りませんから。自分がリーダーなら下手な事は出来ません。…ありがとうございました」



歩きながら話していたが、木下は立ち止まり丁寧に頭を下げる。
リーダーの件は奈桜の動きを封じる為の策だったのだ。