パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「君が適任だよ。きっと他のメンバーもそう言うよ。歌も踊りも1番上手い。メンバーからの信頼も厚い」



『信頼も厚い』って、誰から聞いたんだよ?…と口答えしたい気持ちを奈桜はグッと抑える。


「でも……」



「気持ちは分かる。今までリーダーなしで上手くやって来たからな。でも、Zは大きくなった。これからは誰かまとめる人間が必要だ。…大袈裟に考える事はない。今まで通りでいいんだよ。今まで通りで」



その笑いが不気味だ。



「他のメンバーにはマネージャーから話が行くから」



奈桜は困惑した顔のまま、どうしたらいいのか分からなかった。
小学生の頃から、班長さん以外でリーダー役をやった事がない。
完全に苦手分野であり、例えば『飾り』だと言われても勘弁して欲しかった。




「で、…だ」



「え?」



専務のまた訳のわからない話の切り込み方に、聞き返す。