パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「徹夜?・・・そうなんだ。オレ、みんなに迷惑かけて」



自分の力の無さを改めて知る。
1人では何も出来ない。



「奈桜さんが心配されているのは、あちらの借金の事ですよね?何とかクリアしました。予想以上に額が大きくて、正直驚きましたが。強力な協力者も現れましたし」



車は見慣れた道をスムーズに進んで行く。
通り過ぎて行く車に、誰が、ここにZの雨宮奈桜が乗っていると思うだろう?
これだけの車。これだけの人。自分も、この大勢の中の1人に過ぎないのに。
どうしてみんなと同じように出来ないのだろう。
奈桜は、ふと、センチメンタルな気持ちになった。



「強力な協力者って?」



「意外な人物ですよ。あちらの借金は、まず、所有されているマンションを全て売却して頂きます。そして、ここで協力者なんですが。プロデューサーの神川さんが、今度の映画のギャラを高額で先払いして下さる事になりました」



「神川さんが?」



驚きのあまり声が裏返った。