パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「あ、あの、先に言いたい事が・・・。いいですか?」



奈桜は思い出したように立ち上がり、ソファーの横に出る。
先に言うべき事があったのに、緊張からつい、促されるまま座ってしまった。
余計に緊張して行く気持ちを、小さく深呼吸して抑える。
社長と木下の視線が奈桜に向けられる。



「この度は大変御迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。すみませんでした。誠に勝手なお願いとは思いますが、どうか、水無瀬梓との結婚に向けての調整をさせて下さい。今まで以上に仕事は頑張ります。どうか、どうか、よろしくお願いします!」



勢いよく頭を下げる。
心から、願った。
どうしても、どうしても、今、掴まなければならないものがある。
『NO』と言われた時の事は考えていない。
この問題に『NO』というフレーズは存在しない。