パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「まだまだ稼がせて欲しいからな。こんな所で倒れられちゃ困るんだよ」



神川は右手を軽く上げ、ゆっくり歩いて行く。



「ありがとうございました!!」



奈桜は大きな声で言うと深々と頭を下げる。
ひとつ、大きな荷物が肩から下りた。
胸に熱いものが込み上げて来る。
神川には今まで色んな感情があったが、もう、消えた。
全てを帳消しにするほどの事をしてもらった。
柊の一大プロジェクトを潰してくれたのだ。




「ありがとうございました」



通り過ぎようとする神川に、石田が頭を下げる。



「いつも好きにやらせてくれて、ありがとう」



「えっ?」



香水の甘い香りがフワッと鼻をくすぐる。
顔を上げた時にはもう後ろ姿。
イイオトコは去り際も美しい。と、石田は思った。
そして、奈桜の周りにはいい人ばかり集まると。
いい仲間に囲まれている事が、石田にも嬉しかった。