「まぁ…な」



碧はまた頭を抱え込む。



奈桜は相手が誰なのか気になったが、聞いていいのか悩んでいた。
ここまで話してまだ言わないのは、やはりすんなりとは言えない相手なのだろう。



「オレは…、これからもっと仕事するし、何だってやる。これまでだってずっと頑張って来たし、これからも上を目指して行く。…もっと、もっと仕事するって言った。だから彼女との事だけは許して欲しいって。ほんとに必死で頼んだ。オレさ、人生でこんなに人に頭を下げた事ないよ」



悔しそうに、情けなさそうに吐露する。
奈桜は黙って、ただ、聞いた。



「碧は頑張ってるもんな。恋愛くらい…普通にしたいよな」



事務所に隠れて恋愛して来た奈桜には胸が痛い話だ。



「両方の事務所は別れさせて写真を別の記事に差し替えさせてこの話を終わらせるつもりでさ。一筆、書けって。…やってらんねぇ!!」



碧の右の拳がテーブルを叩いた。