パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~



「よぉ♪」



『前にも見たシチュエーションだな』と、奈桜は思った。
少し前方でこちらを見て笑っている、渋めのちょっとカッコイイ中年男性。
ヤツだ。
奈桜は軽く頭を下げるとそのまま行き過ぎようとした。



「おいおい。なんだ?挨拶もなしか?天狗になると足元すくわれるぞ」



わざと嫌味な事を言って奈桜の気を引く。



「天狗になんかなってません。ちゃんと挨拶しましたよ」



答えたくはなかったが、『天狗』と言われては黙っていられない。
また神川の手に乗ってしまった。



「軽く頭を下げたくらいでか?ちゃんと声に出せよ。それが挨拶だろ?それに世話になってる人には何か一言、付け加えるもんだ」



『他の人にならやってるよ』と、奈桜は心の中で毒づく。