パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

桜は開いていた雑誌を静かに閉じ、じっと表紙を見つめた。
何を見ている訳でもなく、ただ、じっと見つめている。
一生懸命、考えているのだろう。
こんな大事な事を朝っぱらに告白してしまう自分に、奈桜は情けなくなる。



「あぁ、やっぱり、いい。ごめん。パパが悪かった。こんな大事な話、今言う事じゃないよ。何も言えないよな。そうだよ。重大過ぎる。ごめん。パパ、ちょっと焦ってて。桜に先に言いたくて。言わなきゃならないと思って。ごめん。あのさ、ゆっくり考えて。急がなくていい。桜が答えが出たら、言って。それでいいから」



自分の焦りを桜に押し付けてしまったと奈桜は反省した。
こんな小さな子に、すぐに答えが出せるような事ではない。
例え高校生でも無理だろう。
焦るのは良くない。



「もうそろそろ時間だな。忘れ物ないか?パパ、今日も遅くなると思うから。優子さんの言う事、ちゃんと聞くんだぞ。車、気を付けろよ」



いつもの優しい笑顔を桜に向ける。
奈桜も必死で一生懸命だった。
どれも、これも、手放したくない。
欲張りだと言われようが仕方ない。
掴んでいたいものはしょうがないのだ。
桜が梓を拒否するなら仕方ない事ではあるのだが。



何もかも手に入れようとする自分は間違っているのか?
イケナイ事なのか・・・