パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「思った通りって何だよ」



「フフ。仕事に対して真摯って事よ。惚れ直しちゃった」



思わず奈桜は周囲をキョロキョロ見回す。
離れているとはいえ、まだ部屋には監督や助監督や数名、残っている。
いきなりこんな所で大胆な事を言う梓に、奈桜はヒヤヒヤする。



「ハハハ。水無瀬さんはリップサービスもお上手ですな」



ドキドキしていたからか、『お上手ですね』と言いたかったのに、『お上手ですな』と言ってしまった。
そんな焦る奈桜を見て、梓は楽しんでいるようにも見える。
しばらく何も話さず、ただ横に並んでスポーツドリンクを飲む。
それだけの事でも、こういう場所で時間を共有出来た事が嬉しい。




「ねぇ、奈桜、」



急に梓の声のトーンがワントーン、下がった。
じっと前を見つめて思い詰めた顔をしている。