パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「あっ、青山さん、そこにいたんですか?ちっとも気がつかなかった。すみません。監督、オレはいいですよ。どうぞ」



わざとらしいくらいのアイドルスマイルを浮かべて柊を見る。
『気がつかなかった』のはもちろん、暗にオーラがなかったと言っている。
奈桜も柊相手では、完全には大人な対応が出来ない。



「じゃあ、邪魔にならないように隅で見ていて下さい。雨宮さん、申し訳ないんですが、台本がちょっと変わりまして。こちらのものを使って頂けますか?10分待ちますので覚えて下さい」



柊が下を向いて、クスッと笑うのを奈桜は見逃さなかった。
これも仕組まれた事なのだろう。



「分かりました」



奈桜は動じず渡された台本をめくった。



「イジメかよ?」



ハンパないセリフの量に思わず小さく呟く。