パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

「でも・・・。やっぱり、奈桜さんがこんなデキレースに出るのはおかしいです。奈桜さんはＺの雨宮奈桜なんですよ」



石田は気を遣って言ってくれたんだろうが、奈桜はこういう言われ方が嫌いだ。



「Ｚの雨宮奈桜って。変な言い方すんなって。大した事ないでしょ？オレだよ？ここにいる、今ここで居眠りしてたヤツだよ？」



『Ｚの雨宮奈桜』と、偉そうにくくられるような立ち位置にまだいない。
奈桜はそう思っている。
実際、人気だけでそう言うのは荷が重い。
年齢的にも、キャリア的にも、まだまだだ。


「でも。もう主役は決まってるんです。貴重な時間を割いてまでやらなくても。しかも、このオーディション、奈桜さんとその人の２人だけなんです。マスコミまで呼んでおいて。明らかに利用されてます。もう帰りましょう」



「ちなみにその主役に決まってるヤツって誰？」



ふと、何か予感がした。



「青山柊さんです」