「奈桜!」
呼ばれて振り返ると碧がいた。
昨日、徹夜したせいで頭がちょっとボーっとしている奈桜は、いかにも眠そうな顔で控え室に座っていた。
「おはよ・・・」
「おはようじゃないだろ?何だよ。その顔。徹夜明けみたいな顔して」
雑誌の写真撮影でカッコイイ格好はしているが、どうにも表情が悪い。
ただ、本番になると絶対キメて来るから、碧も大して心配はしていない。
「ちょっと小説書いてたからな」
「なるほど。相変わらず多趣味だな。・・・泉が色々動いてくれてる。もう少し待ってくれ」
奈桜に近寄り小声で言う。
周りは徐々に流れを変えている。
それに気付かないのは鈍感な奈桜だけ。
いや、泉や碧、奏、心たちが必死で守ってくれているからだろう。
「悪い・・・な」
それ以上は何も言えない。

