パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「一言で言うと、恋愛映画です。小さい頃に幼馴染みの男女が交わした結婚の約束。一旦は離ればなれになってしまう2人が、高校生になって再会。ところが彼女は病気により両耳の聴覚を失っていた。大企業の社長のひとり息子の彼と耳の聞こえない彼女。色んな事を乗り越えて最後に結ばれる、切ないラブストリーです」



石田の言う内容から想像を膨らませ、大体のストーリーが奈桜の頭の中で描かれる。



「・・・。めっちゃいい話だけど。ね、それ、オレに合ってる?イメージ、かけ離れてない?」



奈桜は素朴な疑問を石田にぶつけてみる。



「そこ!!そこなんです!!その、今、奈桜さんに付いているイメージを変えようと思うんです。パパドルだけではダメです!!」



『おいおい、このイメージで売って来たのはそっちだろ?』と、言いたい思いをグッと抑える。



「今のままでいいよ。大体、あえて今、変える必要ある?」



もっともな意見を言ったつもりだ。
ようやく世間も落ち着き、奈桜の存在位置は確立された。
それをここで、どうしようというのか。