パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「ほぉ。そりゃ嬉しいね。天下のZの雨宮奈桜にそんな風に言ってもらえるなんて」



『早速これだ』と思いつつも、何とかやり過ごさなければならない。



「天下は取ってないですよ。まだまだです。神川さん、相変わらずお元気そうで」



「まぁな。面白い事が尽きないからなぁ。病気になる暇もないさ」



もう逃げ時だと奈桜は思った。
話の矛先が怪しい。



「じゃあ、また」



すでに奈桜の体は動いている。



「水無瀬梓は元気か?」



奈桜の足が止まる。
『来る』とは思っていても、触れられるとやはり反応してしまう。



「逃した魚は大きいんじゃないのか?オレはてっきりお前と結婚すると思ってたがな。梓も女だな。寿命の短いアイドルと青山グループの御曹司とじゃ、比べるまでもなかったって事か」



ニヤリと笑う口元を、殴ってやりたい衝動を奈桜は必死にこらえた。