「よぉ、奈桜」
『またか・・・』と、奈桜は心の中でため息をつく。
今日は昼からラジオ番組の仕事が入っていた。
ラジオは結構、好きに話せるので、奈桜にとっても気負わずに出来る好きな仕事のひとつ。
だから朝から何を話そうか、ちょっと楽しみに考えていた。
・・・のに。
ラジオ局に入るなり正面に現れたのは、あの神川だった。
例のごとく馴れなれしく奈桜に声をかけて来る。
神川に関わるとろくな事はない。
奈桜は軽く頭を下げて挨拶するとさっさと行き過ぎようとした。
ちょっとあからさまに。
「おいおい。それだけか?オレたちの仲はこんなもんじゃないだろ?」
ニヤニヤと笑う神川が、また何か言いたい事は簡単に想像がついた。
「アハハ・・。お忙しい神川さんの足を止めてはイケナイと思ったんですが。思いやりですよ」
奈桜がニヤッと笑う。

