「Zの皆さん、リハ始めます。よろしくお願いします!」
スタッフが明るく告げに来た。
「行きます…か?」
泉がみんなを見ながら言う。
「よし。行こう」
心がみんなを促すように言うと、それぞれ碧をチラッと見ながら動き始める。
碧はまだそっぽを向いている。泉、奏、心が部屋を出たところで奈桜がゆっくり碧に近付く。
「行こう」
そっと右肩に手を置くと優しい声で言った。
こういう時に1番適役なのは奈桜である。
皆、それを分かっているから碧には触れずに部屋を出た。
奈桜の持つ、柔らかい癒される雰囲気と優しい物言いは相手から反発される事はまずない。
碧は深く深呼吸するとゆっくりと立ち上がり、重い足取りで奈桜と部屋を出た。

