「神川さんって、そんなに力あるのか?」
走りながら、今さらながら感心する。
さっきのあのADに神川の名前を使ったのは、単なる思い付きだった。
ヤツが神川を知っているとは限らない。
第一、神川の名がそこまでとどろいているとも思わなかった。
「たまには役に立つな」
奈桜はこの事は神川には黙っておこうと思った。
「そんな事より・・・、なんで出ねぇんだ?」
いっこうに繋がらない電話に苛立ちが募る。
「今日はオフって言ってたのに。ずっと家にいるから会いたいって言ってたのは梓だろ!!!」
全力疾走する姿は、まるでドラマの撮影のようにカッコイイ。
風のように駆け抜けて行く様は、側の人を一瞬、驚かせるが、その速さに誰もその人物が『雨宮奈桜』だとは気付かなかった。

