何も意味はないにしても、今、紗希の手に感じる温もりは間違いなく奈桜。
この手をずっと握っていてくれたら。
このまま、どこか遠くへ2人で行けたなら。
ううん。
私がずっと離さなかったら。
違う未来が見えるの?
紗希は奈桜の真剣な横顔を見ながら、切なく想う。
『奈桜さん、どうして助けに来るの?』
「ここまで来たら大丈夫だろうな。いくらなんでも最後まで追っかけて来ないだろ」
少し息を切らしながらにっこり紗希に微笑みかける。
「喉渇いたな。何か買って来るよ」
「奈桜さん、」
行こうとする奈桜に紗希の声がかぶさった。

