パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

奈桜の声に男はイラッとしながら振り向く。



「あっ!!神川さん!」



その瞬間、男の向こう側を指差して大きな声を出した。
古典的な方法と言えば、そうだろう。
ただ、『あっ、宇宙人だ!』と言わなかっただけ、マシかもしれない。



「えっ!?」



男は慌てて周囲をキョロキョロ見渡す。



「今だ!!」



奈桜は紗希の手を取り走り出す。



「おい!神川さんは?・・・おい!待て!・・・仕事の話はナシだからな!!」



走る紗希の背中に男の声が突き刺さる。



奈桜の手に、力がこもった気がした。