パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「お前・・・、それ、本気で言ってる?」



碧の目力がハンパなく強い光を帯びて来たところで奈桜は『冗談だよ』と力なく笑った。



「熱愛記事だ」



瞬間、奈桜の体が固まった。
梓、メンバー、事務所・・・
一瞬で様々な顔やシュチュエーションが浮かび、頭の中がパニックになる。
悲しい事に、こういう時に浮かんで来るのは仕事関係ばかりで、桜の事は浮かばなかった。



「それが相手は奈桜じゃない」



碧の言葉に奈桜はきょとんとする。



「え?・・・言ってる意味がよく分からない」



「相手は今、ドラマで共演中のイケメン俳優、青山 柊(あおやましゅう)。そいつのコメントが・・・『温かく見守って下さい』だってさ。認めてるんだよ。梓さんの事務所も『良いお友達のひとりです』って。おい、どういう事だよ?お前と梓さん、付き合ってるんだよな?」



「付き合ってるよ!・・・たぶん。っていうか、スポーツ新聞はウソが多いんだよ。きっとガセだ」



それは自分に言い聞かせているようでもあった。