「奈桜!!」
車を降りた奈桜に向かって、向こうから碧が突進して来た。
面食らう奈桜の胸ぐらを掴み、側にいる人から離れた場所までグググッと押して行く。
「な、何だよ?」
何がなんだか分からない奈桜はそう言うのが精一杯。
「その寝ぼけたぼやついた顔!テレビ、観てないな」
「いつもこんな顔だよ。朝は教育上、テレビはつけない」
ちょっと強気に反論出来た事に奈桜はホッとする。
そんな奈桜に碧は『はぁ・・・』と深いため息をついた。
「梓さんの事が出てた。スポーツ新聞もおっきく出てる」
碧の大きな目ががっちり奈桜を捉えて、次の言葉を待つ。
「何か賞でも獲った?」

