「・・・はい」
携帯の着信音で奈桜は目を覚ました。
いつの間にか、桜の側で眠ってしまっていたようだ。
「あぁ、ごめん。寝てた?じゃあ、いいよ。大した用じゃないから。また明日」
「あ・・・、大丈夫。うたた寝してた。まだ風呂も入ってないし、起こしてくれて助かったよ。何かあった?」
電話の声は泉だった。
「いや、ちょっと気になってさ。何か深刻な顔してたし。またひとりで抱え込むんじゃないかと思って。ごめん。オレ、心配性だな」
ちょっと笑った声を出したが、泉は心配でたまらなかった。
最近の奈桜の仕事の量もハンパないし、休みがずっとない事も知っている。
そして、絶対、弱音を吐かないコトも。
「アハハ。そんな深刻な顔してた?オレ、すぐ顔に出るなぁ。・・・うん、大丈夫。上手く行ったから。ごめん。心配かけて」
「そっか。なら、いいんだ。それだけ。じゃ、明日。おやすみ」
明日も仕事が詰まってる事を考えて、泉は早々に電話を切ろうとした。
「あ・・・、あのさ・・・」
奈桜が言葉を繋げる。

