~普通がいい・・・~
「ただいま」
仕事を終え、急いで奈桜が帰って来た。
「お帰り。・・・まだ待ってるわよ」
母の優子がリビングの方をチラッと見る。
奈桜の鼓動が早くなった。
こんな遅くまで先生が待っているというのは、かなり重要な話があるのだろう。
桜が学校でいじめられているのか・・・
自分の職業が問題になったのか・・・
どちらにせよ、いい話ではない事は想像出来る。
奈桜は自分を落ち着かせるように呼吸を整えた。
「遅くなってすみません。お待たせしました」
奈桜は丁寧に頭を下げる。
「奈桜さん!いいえ。こちらこそ、すみません。こんなお時間まで。あ、お仕事、お疲れさまでした。意外と早いんですね。芸能人って、夜中に帰って来るのかと思ってました♪」
奈桜と優子は見つめ合って苦笑いする。
「あの・・・、お話、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

