パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「ほぉ~。一人か。意外と冷たいメンバーだな」


ふいに、ドアのほうから声がした。
聞き覚えのある、嫌な声。
奈桜はゆっくり振り返る。



「こんな所に何の御用ですか?神川さん」




斜めに見上げながら、嫌そうに言う。



「用がなくちゃ、来ちゃいけないか?色男の顔を拝みに来たんだよ。ほんと、羨ましいよ」



微笑みながら、嫌味たっぷりに神川が言う。
迷惑そうな奈桜の表情が神川を満足させる。



相変わらず高そうなスーツをカッコよく着こなし、どこにも隙を見せない。
奈桜より歳を重ねている分、落ち着きと渋みが違う。
色んな事を経験して来た、人としての年輪が強いオーラを放つ。



一瞬、負けそうになる心を、奈桜は強く持ち直す。



「モテ過ぎて大変ですよ。『おかげさまで』」



『アハハ』と神川は高笑いした。