~傷付く・・・~
朝は異常な騒ぎだったのに、昼を過ぎる頃には張り込むマスコミもすっかりいなくなってしまった。
全ては裏で奈桜の事務所が手を回したのだ。
今やトップアイドル『Z』を抱える奈桜の事務所。
多少の力は持っている。
奈桜はその事がちょっと怖い時がある。
無理をすれば、白を黒に、黒を白にする事さえ出来てしまう世界。
出来ればいつまでも、白は白、黒は黒と言いたい。
そう主張出来るなら・・・
今日はバラエティーの収録、歌番組の収録とずっとZのメンバーと一緒だった。
みんなそれぞれのマネージャーからスキャンダルの事は聞かされていた。
だから誰もその事に触れて来なかった。
ただ、みんなそれぞれのやり方で気を遣ってくれた。
泉は廊下を歩く時も率先して先頭を歩いて奈桜をさりげなくガードしてくれたし、奏はいつも以上に派手にボケて笑わせてくれた。
心は収録中、奈桜のトークをずっとフォローしてくれ、碧はコーヒーを淹れたり、マスコミの動向をずっと見ていてくれた。
この気遣いがZのメンバーなのだ。
奈桜は一人残った楽屋でゆっくり深呼吸した。

