パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「どこに行ってもマスコミがいっぱいだと思いますが、何も答えないで下さい。取材も撮影も全てNGで交渉中です。よろしくお願いします」



奈桜は黙って外を見ている。
改めて自分のいる場所を考える。
華やかで煌びやかで、いつも光が当たっている場所のようで、実は色んな人の欲望と策略がそういう夢の世界を創り上げているのかも知れない。
自分たちの汚さを払拭するために。



自分はここで何がしたいのか。



「こちらからは正式なコメントは出しません。ただ、一部に少し情報を流します。全くのデマだと。ワイドショーで取り上げてもらいますので。お嬢さんも傷付かないかと。ファンも安心するでしょう」



事務所のやり方にばかり気を取られていたが、一番大事なのは『ファン』。
その事をすっかり忘れていた。



「オレはやっぱり、まだまだだな」



「何ですか?」



『いや、何でもない』と首を横に振り、小さく笑った。