パパはアイドル♪vol.２ ～奈桜ｸﾝの多忙なｵｼｺﾞﾄ～

奈桜も木下をキッと睨んだ。



「ダンボールなんかに入って脱出するなんて、誰が考えたんだよ。いったい、いつの時代だ？」



奈桜と木下はバックミラーで睨み合う。



「奈桜さん、私の質問に答えて下さい」



「付き合ってねぇよ」



木下が全部言い終わる前に奈桜が答えた。
少し重い空気が３人にのしかかる。
さすがに石田も口を挟めない。



「分かりました。ダンボールの脱出は社長が考えました。古典的なようですが、今の時代なら意外とイケるんじゃないかと。窮屈な思いをさせてしまって申し訳ありませんでした」



奈桜は黙って流れて行く景色をぼんやり見ていた。



「奈桜さん、今回の事は事務所としても防ぎようがありませんでした。記事が出ると知らされたのは明け方近く。もうどうしようもない状態でした。記事を書いた記者は今日付けで子会社に移動になっています。事務所としても、この新聞社とは今後付き合いを止める事になりました。取材、インタビュー等、全て受けません」



奈桜にとっては、そんな事はどうでも良かった。
事務所が付き合いを止めても困らないレベルなのだ。