パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「奈桜さん」



マネージャーの石田が奈桜を呼びに来た。
また取材。
すぐそこに記者も来ている。



奈桜はチラッとそちらを見た後、海を見た。
遠くを見つめるその瞳は少し悲しげでもあり、憂いを帯びていた。
沙希はまた、ドキッとする。



「じゃ、ちょっと。また後で」



奈桜は笑って立ち上がると行ってしまった。
さっきの表情と変わっていつもの柔らかい笑顔。
沙希は会釈をしてそのまま見とれている。



「カッコイイ・・・」



颯爽と歩いて行った奈桜の姿がまだ沙希の瞳に映る。
さっきのあの悲しそうな顔、普段見せない顔を一瞬見た事が、沙希にとってこの時間を『特別』にした。




沙希にとって『また後で』会える事が約束されている今日は最高。



例えそれが仕事だとしても。