パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「あ・・、そうですよね。確かに疲れますよね。あの・・・、一方的に思われるっていうのは・・・?」



やっと確信に触れる。



「う~ん。どうかな。それって、片思いされてるって事でしょ?こっちには分かんないもんね。いいも悪いもないよ。気付かないんだから」



そう言って奈桜は『ハハ・・』と明るく笑った。
ごもっともな答えである。
嬉しいも、迷惑も、本人が気付かない以上、成り立たない。
沙希はバカな質問をしてしまった。
本当は『一方的に思われるのは構わない。好かれるのは嬉しい』というような答えを期待していた。
そういう答えを聞いて、自分の奈桜への想いを正当化しようとしていたのかもしれない。
別に正当化する必要もないのに。



「あ・・・、そうですよね。言わなきゃ分かんないですよね?すみません。私、なんか、バカな質問しちゃって」



真っ赤になった顔で沙希が頭を下げる。
謝りながらも心は幸せで満ちている。
今まで、こんなに奈桜と話した事はなかった。

好きな人と向かい合って同じ時間を共有する。

それは、一番贅沢で幸せな事かもしれない。