「そんな事ある訳ないだろ?オレがそんな切り札みたいな・・・。ナイ。ナイ。絶対ナイ。オレは何にもしてないよ。事務所のおかげだろ?まぁ、オレをそんな風に見てくれるのは嬉しいけどさ」



笑いながら席を立とうとする。



碧はこれ以上この事を言うのはやめようと思った。
もちろん、奈桜が簡単に神川との事を認めるとは思ってなかったが。
奈桜のおかげだという事は分かっている。



神川本人に聞いたのだから。



「あのさ・・・」



「そんな話なら、もう行く」



「彼女とは距離を置く事にした。今は・・・、お互い仕事が大事なんだ。必要とされてるし。ちゃんと仕事をして、それからって。この仕事をしてるから出会えた訳だし。お互い仕事も大切にしようって。別れるのとはちょっと違うんだけど。ずっと一緒にいたいから、今は仕事を頑張るっていう・・・。奈桜と梓さんみたいな・・・」



碧の顔にやっと笑みが浮かぶ。