「よぉ♪」
空港に着いた梓に誰かが声をかけた。
「どこかへご旅行ですか?神川さん」
梓はにっこりと微笑んで、サングラスを取る。
「ふっ。あいにく仕事が詰まっててね。君が一緒に来てくれるなら、今からチケット取るけど」
「そう言って下さるなんて光栄です。でも、残念ながら私も行く所があって」
もう一度にっこり微笑み、歩き出す。
梓が神川の横を通り過ぎようとした時、腕をガシッと掴まれた。
「なんですか?」
さっきまでとは違い、強い口調で睨みつける。
「どこへ行くんだよ?」
腕を強く掴んだまま、神川は少し笑みを浮かべて言う。
「あなたに言う事じゃありません。離して下さい!」
「オレに言う事じゃない?アメリカにいるはずのお前がなんで日本にいる?」
神川を見る梓の目が少し怯えた。

