パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~

「そう思えるのって幸せな証拠ね。『今、現在』に不満があったらそうは思えない。忙しいかもしれないけど、充実してるのね」



優子の顔も微笑んでいた。



「迷惑かけてるけどな」



照れ笑いするその表情は、子供の頃の幼さを残している。
優子はいつの間にかすっかり『父親』の顔になった奈桜の中に小さかった頃の顔を見て、懐かしさとちょっぴりの寂しさを感じた。



「あら、楽しいわよ。『アイドル』の母も『孫』の世話も」



そう言うとチラッと壁の時計を見る。
奈桜もチラッと見た。



「さぁ、後はおばあちゃんに任せて。仕事、詰まってるんでしょ?きっと石田さん、下でやきもきしてるわね」



「あぁ・・・、悪い。大福もち、置いといて。帰ったら食べる。・・・ありがとう」



最後に一口、お茶を飲み、桜の部屋のドアをそっと開ける。




「行って来るからな・・・」



顔を見るだけのつもりが、やはり桜の枕元に。



髪をそっと撫で、少し赤い頬にキスをした。